かな入力
かな入力をつかうとき、「ひらがなIME」では、つぎのふたつのかな配列をえらべます。
配列のなまえ | 説明 |
---|---|
JISかな配列 | 現在の日本語キーボードに刻印されているかな配列です。 |
New Stickney 配列 | JISかな配列よりもおぼえやすく、つかいやすい配列です。 |
※ かな配列のきりかえは、「設定のかえかた ― キーボード タブ」をおこないます。
JISかな配列
JISかな配列は、つかうキーの数がおおく、つかいにくいところがあります。「けせぬへむめろをー゛゜」といった文字が、かなりうちにくい位置にあります。
日本語キーボード用
全角 
- Shift+0で、_(アンダースコア)を入力できるのは、「ひらがなIME」の拡張機能です。
英語キーボード用
- スペースキーは変換キーになります。
- 空白を入力したいときは、行頭など直前に変換できる文字がないときに変換キーをおせば空白を入力できます。
JISかな配列はおぼえにくく、うちにくいと、よくいわれます。このことが、いまでは、おおくのひとがローマ字入力をつかっている理由のひとつとかんがえられます。
New Stickney 配列(第17案)
New Stickney 配列は、研究中のあたらしいかな配列です。うちやすい3段10列のキーのなかに、かな文字をおさめています。かな文字は、おぼえやすいように、五十音の行ごとにまとめて配置しています。テンテン(゛)をつけられるか・さ・た・は行、それから、や行のキーはひだり手がわにあります。
キーボードの文字の配列は、じっさいの文章をうちやくすくなっていることもたいせつです。たんじゅんな五十音順のキーボードは文章の入力にはむいていません。かな文字には、文中によくでてくる字もあれば、そうでない字もあります。文中のかな文字のならびかたにも、よくあるならびかたと、そうでないものがあります。New Stickney 配列は、そうした日本語の特徴を利用して、ひとつひとつの文字をならべています。
英語キーボード用
日本語キーボード用
全角 
- スペースキーは、センター シフトキーになります。シフトがわの文字を入力するには、さきにセンター シフトキーをおします。そのあとで、入力したい文字のキーをおします。
たとえば: センター シフト あ → あ,は センター シフト ゜ → ぱ - センター シフトキーをおしたままにしておけば、シフトがわの文字をつづけて入力できます。
たとえば: センター シフトをおしたまま、ひ ゜ → ぴ - ちいさな「っ」は、っとかかれているキーをおして入力します。
- ちいさな「ぁぃぅぇぉゃゅょ」は、あとからテンテンのキー ゛ をおして入力します。
たとえば: よ ゛ → ょ - 全角の空白は、センター シフトキーをおしてから、もういちどセンター シフトキーをおして入力します。行頭など直前に変換できる文字がないときは、変換キーをおせば空白を入力できます。
いまのJISかな配列がつかいにくいものになった経緯
現在のJISかな配列は、1923年にバーナム・クース・スティックニーが設計したかなタイプライター用の配列がもとになっています。かな文字のキーは、おぼえやすいように、五十音の行ごとにまとめられていました。文中にあまりでてこない「ぬ」や「む」といった文字は、シフトキーをつかってうつようになっていました。
したの図は現在のキーボードにスティックニーのかな配列をかさねたものです。かな文字が五十音の行ごとにまとまっていることが、よくわかります。
図: スティックニーのかな配列
スティックニーは、かな配列をおぼえやすくするために、つぎのような方法をもちいました。
- かな文字をなるべく五十音の行ごとにかためて配置する。
- テンテン(゛)をつけられるかな文字は、ひだり手がわにおく。テンテンを入力するキーは、みぎ手がわにおく。
また、スティックニーは、配列をおぼえやすいように、「や」と「ゃ」のような小がきのあるかな文字をふたつセットにして最上段にあつめました。「い」をひとつしたの、うちやすい段にしたのは、「い」が文章のなかでよくでてくるためとしるしています。
機械式タイプライターでは、ひとつのキーでうてるのは、ノーマルがわとシフトがわの2文字だけでした。スティックニーは、シフトがわのうちやすい位置に、数字や記号をおきました。
そうしているうちに、日本語と英語どちらもうてるコンビネーション・タイプライターがつくられました。コンビネーション・タイプライターでは、各キーのシフトがわにアルファベットをおきました。そのかわり、もともとシフトがわにあったかな文字が、キーボードの右すみにうつされました。そのために、五十音の行ごとのキーのまとまりがくずれました。
図: コンビネーション タイプライターの配列
JIS配列は、キーボードのキーの数をさらにふやして、「ぬむろー゛゜」をよりうちにくい位置にうつしました。JISかな配列がおぼえにくく、うちにくいといわれるのは、こうした歴史的な経緯によるものです。
新JIS配列
JISかな配列がつかいにくいということで、1986年にあたらしいJISかな配列がつくられたことがあります。しかし、この新JIS配列は普及することなく、現在では廃止されています。普及しなかった理由はいくつかあげられています。JIS配列よりもさらにおぼえにくい配列だったことも、その理由のひとつとしてあげられています。
したの図は現在のキーボードに新JIS配列をかさねたものです。キーボードから文字をさがすのは、もともとのJIS配列よりもむずかしくなってしまっています。これは、専門のオペレーターが高速にタイピングできるようにすることも目標にしていたためです。
JIS規格としては廃止されましたが、新JIS配列には、よいところもありました。
- うちにくいキーボードの最上段には、かな文字をおかないようにしました。
- 規格書には、英字/仮名とCaps Lockは、べつべつのキーとしてかかれていました。うえの図では、現在の日本語キーボードにならってひとつのキーとしています。Aキーの左がわのキーをつかって英数モードとかなモードをきりかえる方式は、この規格書にみることができます。いまのIMEでも、たいていはこのように設定することができます。
- スペースキーの左がわに英字キーを、右がわに仮名キーをおく方式も規定していました。さいきんの日本語キーボードではこの方式も標準的な方法になっています。
- スペースキーの位置にシフトキーを追加する方式も許容していました(センターシフト方式)。センターシフト方式をつかうと、シフト面にあるかな文字も入力しやすくなります。
- JIS配列の右隅の_キーをなくしました。_(アンダースコア)は、0のシフトがわでうてるようにしました。
New Stickney配列は、スティックニーのかな配列と新JIS配列のよい部分を、どちらもいかすように設計されています。かなの配置も、中段の「はかし」,「うい゛」などは新JIS配列の設計をそのままひきついでいます。